ここで、沖堤で釣りをする場合のいくつかのご注意を申し上げます。 と言っても、別に規則があるわけではありません。「みんなで楽しく釣りをするための心得」を提案したいと思うのです。 沖堤には、街を歩くように気楽なつもりで行くと、思いもよらない目に合います。 次のような点に注意して失敗のないようにしましょう。 |
(1)波をかぶります 横浜の沖堤は一般に高さが低く、満潮時には海水がはい上がるほどに なります。それに波のうねりも加わると、完全に水をかぶることにな ります。「タグボート」の通過後には特に大きなうねりが発生します ので注意が必要です。最も適した履物は長靴ですが、少なくとも海水 に浸かってもいいようなものを履いて行きましょう。その他の服装も 同じように、海水をかぶってもいいものにしましょう。風が強い日に は、波しぶきを頭からかぶることもありますよ。 |
(写真:タグボート) |
(2)風が吹きます 海辺はとかく風が強いものですが、沖堤も例外ではありません。それ に沖堤では風をさえぎるものが何もないので、まともに風が吹き付け ます。夏場は「涼しい」で済みますが、冬場はそういうわけにはいき ません。特に濡れた身体に風が当たると、余計に体温を奪います。そ れでも、やたらに着込めばいいというものではありません。効率よく 風による寒さをしのぐためには、風を通さない材質のものを外側に着 て、内側には、空気をたっぷり含む素材のものを着込んで行きましょ う。 それから、風で気をつけなければならないのは、持ち物を飛ばされな いようにすることです。堤防の上に不用意に置いておくと、たいてい 飛ばされてしまいます。最近の釣り竿はとても軽いので、仕掛けごと 飛ばされることもあります。持ち物は、できるだけひとつにまとめて 重いものにくくりつけるか、堤防の施設にしばりつけておくようにし ましょう。そのために、ロープなどを数本用意すると、なにかと便利 です。 しかし、天気予報で「海上の風速13メートル以上」の場合は釣行は 中止した方が無難です。初心者では、まず釣りになりませんし危険も 倍増します。海風をなめると大変な目にあうことをお忘れなく。 |
(3)カンカン照りです 夏場は、日差しを遮るものが何もありません。したがって、必ず帽子 をかぶるようにしましょう。できれば長袖の服にして、直射日光を避 けるようにした方がいいでしょう。もちろん、日焼け止めクリームも 有効です。特に日差しの強い夏は、紫外線カットのサングラスをお勧 めします。海面からの反射もあり、目にはかなりのダメージを与えま す。紫外線は、白内障を引き起こす原因になるとも言われますから。 |
(4)すべります 沖堤は、満潮時に海水に浸るところがあるため、ところどころに海藻 などが付着し、とても滑りやすくなっています。できるだけ滑りにく い靴を履くようにしましょう。最も滑りにくいのは「フェルト底」で すが、ラジアル底の靴でも、注意すれば大丈夫です。磯で履く ような「スパイク靴」はコンクリートの平らな面ではかえって滑ることが ありますので避けてください。 |
(5)とにかく危険です 何が危険かと言って、今まで説明したようなことがいろいろからんで 事故がおきます。たまに沖堤から海に落ちたりする人を見かけます。 たいていは周囲に人がいますから、大事には至りませんが、それでも 沖堤周辺でも深さが5メートル以上あります。下手をすれば死亡事故にもつながり にます。堤防の上では、悪ふざけは禁物です。マナーを守って、安全 に釣りを楽しみましょう。 |
(6)行楽施設ではありません 沖堤は、「港湾施設」であって「行楽施設」ではありません。本来は 沖堤に上がることはもちろん、釣りをすることも禁止されている場所です。 これをやらせてもらっているのも、当局の「黙認」におかげである、 と認識しなければなりません。したがって、この施設を損壊したり、 ゴミだらけにすると完全に釣り禁止になることもありえます。今後も 長く釣りを楽しめるようにするためにも常識の範囲で、節度ある行動 を心がけてください。 |
(7)静かです 沖堤は岸辺からかなり離れていますので、都会のザワメキはあまり聞 こえません。波の音と、海鳥の鳴き声、それに船の汽笛など沖堤独特 の音ばかりです。このような場所にラジオやプレーヤなどを持ち込ん だり、ワイワイと騒がしくするのはマナー違反と思ってください。特 に黒鯛釣りのような繊細な釣りをしている場所では、非常に迷惑にな ります。数人のグループで行くような場合は、ついはしゃぎがちにな りますが、気をつけましょう。 |
(8)地元の習慣があります 釣り場にはその地方独特の釣りマナーがあるものです。横浜沖堤では、特 に黒鯛釣りを中心として「ヘチ釣り」という釣法が一般的です。これ は、簡単な仕掛けに活きエサをつけただけのものです。ほとんどの人 はこれで黒鯛などを狙っています。したがって、その近辺で磯釣りの ように大量のコマセを捲いて魚を寄せるような釣りは、敬遠されます。 ちなみに、神奈川県内でのオキアミコマセの散布は条例により禁止され ています。横浜沖堤でも、メジナやサヨリを狙う場合は、コマセ釣り をやります(アミコマセです)がその場合にも周囲の状況を確認し、 先行者がヘチ釣りをやっているような場合には、一言、声をかけるな どしてトラブルのないように心掛けましょう。 |
(9)狭いです 沖堤はとてもせまい空間で、何人もの人が竿を出します。ポイントも 限られるので、なおさら混雑します。そんな状態で、置き竿を何本も 置くのはマナー違反です。たくさん釣りたいのは誰でも同じ思いです が、みんなで楽しみを分け合うことも必要です。「早い者勝ち」が基 本ですが、たまには譲り合うくらいの、心のゆとりを持ちましょう。 釣りは「漁業」ではないのですから。 |
以上のことを頭に入れて、いつまでも楽しい釣りを楽しめるようにしましょう。 |