横浜港沖堤のスズキ釣り

最終更新日:2006年7月19日



2006年7月17日にゲットした88.5cm)

渡船屋の店に入ると、いきなり目に飛び込んでくるの が巨大な魚拓です。口を大きく開け、鋭い背びれを立 てた姿はまさに横浜港の魚の王者「鱸(スズキ)」で す。こんな大きな魚が横浜港の中を泳いでいるのか、 と誰もがまず目を疑います。そして、やがて、その魚 を自分の手で釣り上げてみたいと思うようになるのです。

■スズキについて
スズキは、日本各地に広範囲に棲息する代表的な汽水 域釣りのターゲットです。スズキはいわゆる出世魚で 30センチくらいまでの幼魚を「セイゴ」、60セン チくらいまでを「フッコ」、そしてそれ以上のものを 「スズキ」と呼びます。
最近は、ルアーフィッシングの流行から「シーバス」 と英語呼びすることも多くなりました。スズキは主に 小魚を捕食するいわゆる「フィッシュイータ」で、恰 好のルアーフィッシングの対象となっています。
スズキの口は想像以上に大きく開きますから20セン チ程度の魚なら丸のみにしてしまいます。それほど鋭 い歯を持っているわけではなく、餌に咬みつくという よりも「吸い込む」といった捕食形式のようです。
スズキは白身で淡白な味なので、刺身やバター焼きな ど多彩な料理で味わうことができます。
■釣 期
横浜港のスズキ釣りは、一年を通じて楽しめますが、 盛期は晩秋(10月から11月いっぱい)でしょう。
この時期になると各沖堤ともルアーロッドを持った釣 り人でにぎわいます。冬季にはアタリは少なくなりま すが、全般に型は大きくなります。夏場は小型が多く なります。
■釣法と仕掛け
関西では活きエビをマキエサに使う「エビ撒き釣り」 という釣法があるようですが、エビが一匹30円もする 関東では、とてもそんな贅沢な釣りはできません。
また、アオイソメを使った浮子釣りもあります。たま に、投げ釣りや、ヘチ釣りのエサにかかったりするこ ともありますが、なんと言っても最近の主流はルアー フィッシングです。
それでは横浜港でスズキを狙うためのルアーフィッシ ングについてご紹介しましょう。

1)ロッド
沖堤でよく使われているのは、9〜11フィート程度の ルアーロッドが多いようです。使用するルアーは20 グラム前後ですから、「Light」クラスで十分です。
最近は安くてもいいものがありますから1万円台のもの でも全く問題ないでしょう。

(写真:ルアーロッド)

2)リール
出来る限り広い範囲を探るためにルアーを遠投するので、リ ールはスピニングタイプがいいでしょう。2から3号 のラインを150メートル程度巻けるものを選んでく ださい。主なメーカーの型番で2500から3000 番クラスでしょう。

(写真:Stella3000)

(写真:PENN-4400SS)
ルアーフィッシングでは、極端に安価なリールは避けた方が無難です。1万円程度のリールなら十分使えるでしょう。
リールを選ぶ際には下記の点に注目してください。
@ 精度の高いギヤ
ルアーでは投げては巻き、投げては巻きを長時間繰り返すので、スムースに動くギヤ精度でないとうまく巻 けなかったり、疲れたりします。滑らかに回転し、惰性で長く回転が続くようなものを選んでください。
A スムースなドラグ機能
スズキは掛けてからが勝負です。最初はどんどん走りますから、それを竿の弾性とドラグでかわさなければ なりません。できるだけなめらかなドラグ性能が望ましいのです。
3)ライン
ルアーフィッシングでもっともよく使われているのが 「ナイロンライン」です。ナイロンは、伸縮性が大き く魚がかかったときに、そのショックを吸収してく れますから、初心者にも扱いやすいラインです。市販 されている多くのルアー用ラインはナイロンです。
スズキ釣りでは、この8〜10ポンドテスト程度のも のを使用します。無用に太いものだと、風や潮流の影 響をうけやすくなります。
また、ナイロンは吸水性あるため、長時間使用していると水を吸って強度が落 ちると言われます。一日の釣行を終えたら必ずライン の塩分や水気をとっておくようにしましょう。

(写真:Game/Varivas社製)
最近、ナイロンに替わってよく使われるのが「PEライン」と呼ばれる ものです。これはナイロンラインとは異なり、吸水性や伸びがゼロ、という特殊な性質をもっています。
ラインがほとんど伸びないために、魚のアタリなどが とても感度よく伝わってきます。また、ひっぱり強度 が非常に強いために、ナイロンよりも細い糸で、同じ 程度の強度が得られます。細い糸であればそれだけ空 気の抵抗も受けにくくなり、遠投にも適しています。
ただ、よいことばかりではありません。PEラインは 次のような欠点もあることを理解して使用しなければなりません。

 ◇根ずれに弱い
 ◇結節強度が弱い
 ◇糸がらみなどトラブルが起きやすい
 ◇値段が高い(ナイロンラインの数倍)


また、PEラインの特性を活かしきるためには、ロッドとのバランスも重要です。ラインの伸びがないため に、比較的柔らかめのロッドにしないと、魚体がルアーを弾いてしまったりします。ナイロンラインで使っ ていたロッドよりも、柔らかいロッドに変えた方がいいでしょう。

(写真:FireLine/Berkley社製)
ここまで紹介したラインはいわば「道糸」に相当する 部分ですが、ルアーを装着するライン部分には、もう少し別 の機能が必要になります。それは、キャスト時のショ ックを吸収することと、魚から切られないようにする ことです。そのために道糸部よりも太い糸を接続して 使用します。これを「ショックリーダ」と言います。
スズキのルアー釣りでは16〜20ポンドテスト程度 のラインを使用します。専用のラインも売っています がナイロンやフロロカーボンの一般ラインでも十分です。
また、テーパーラインと言って、太さが徐々に変わっ ていくラインもあります。メインラインとの結節部で 太さが同じになるので、強度的に有利と言われますが 多少コスト高になります。
メインラインとショックリーダの結び方には様々な方 法がありますから、専門の本などを参考にしてくださ い。特にPEラインとの結節は、ほどけやすいので適切なノット方法で確実に結んでください。

(写真:ショックリーダ/Varivas社製)

(写真:テーパーライン/DAI-RIKI社製)
4)ルアー
横浜沖堤のスズキ釣りに使われるルアーはバイブレー ションが主流です。このルアーは、水中を引いてくる と左右に細かく震えながら底近くを泳いできます。昼 間のスズキはたいてい底についているので、これでそ のスズキを狙うわけです。
サイズは7〜9センチ程度、重さは17〜28グラム 程度です。これを、できるだけ遠投し底近くを引いて きます。港内の海底は、ほとんどが砂地ですが、とこ ろどころに岩礁があり、そこがポイントになることが 多いようです。しかし、それだけルアーの根掛かりも 多くなりますからゆっくり引いてくる場合には注意 が必要です。

バイブレーションでも、最近はブレードタイプやスピ ナータイプなどもありますので、いろいろ試してみる とよいでしょう。
ルアーのカラーはコンディションによって違うので、 ナチュラル系、アピール系を使い分けることが必要で しょう。

(写真:ミノータイプ:RangeVibe/Bassday社製)

(写真:ブレードタイプ:LiveBaitVibBlade/Duel社製)

(写真:スピナータイプ:SaltSpinner/Duel社製)
■釣り味
スズキ釣りの醍醐味は、フッキングしたときの強烈な アタリと、フックアップしたあとの魚との豪快なやり とりです。スズキは元気いっぱいの魚ですから、かか った後も、しばらくは右に左に走りまわります。それ をロッドの反発力でなんとかこらえながら魚の疲れる のを待ちます。
そして、なんといっても興奮するのがスズキの「鰓( えら)洗い」です。スズキは、フックがかかると巻き 上げる途中に海面で頭を左右に振りながらジャンプを します。そのとき、大きく鰓を広げるのが特長です。 その鰓の先は鋭く尖っており、それでラインを切ろう としている、と言われています。その真偽は定かでは ありませんが、海面を大きく分けて左右に首を振りな がらジャンプする様は、まさに魚と闘っている、とい う気分にさせてくれます。
また、この鰓洗いの瞬間に フックがはずれてしまうことも少なくありません。 フッキングして3分の1はバラシ、というのがこの釣 りの常識、という程度に考えておいた方がいいでしょう。


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