横浜港沖堤のアイナメ釣り

最終更新日:2006年7月3日

■アイナメについて
「アイナメ」という魚を御存知でしょうか?この名前 を聞いて、魚の形を思い浮かべられる人は少ないので はないでしょうか。お魚屋さんに並んでいる魚で言う と、ちょうどホッケに似た魚です。というより、かた ちはまさにホッケそのものです。
しかし、鮮魚店の店頭に並ぶと、その値段は全く違い ます。1尾千円程度の値段がついているはずです。そ れだけ、美味な高級魚として扱われる魚なのですが、 横浜港では、実はかなりポピュラーな釣りものなので す。私の横浜港の釣りも、実はアイナメ釣りから始ま りました。
アイナメは、主に砂地と岩礁の入り混じった場所に棲 み、甲殻類や貝類、小魚等をエサにしています。横浜 港では、ほとんどの堤防で釣ることができます。運が よければ、埠頭からでも狙うことができます。それだ け、横浜港では馴染みの深い釣魚でしたが、最近は、 めっきり数が減ってしまいました。
■釣 期
シーズンは主に冬期ですが、真夏でも釣れることがあ ります。季節に関係なく釣れることから「時無魚」 (ときなしうお)と呼ばれたこともあるそうです。
時間帯は夜の方が いいようですが、昼間でも釣れます。ただ、底に居着 いている魚ですので、嵐などで海が底荒れすると、し ばらくいなくなってしまいますから、陽気としては穏 やかな日の方が釣果は期待できます。
■釣法と仕掛け
横浜沖堤でのアイナメ釣りは、「投げ釣り」「フカ セ釣り」それに「ブラクリ釣り」という釣法がありま す。それぞれの釣法を簡単に紹介しましょう。
1)投げ釣り
投げ釣りの仕掛けはカレイなどと全く同じものです。 20号以上の天秤に、セイゴ鉤をつけた投げ仕掛けを セットし、思いっ切り遠投します。鉤にはイワイソメ かアオイソメをつけます。アイナメは岩礁帯を棲み家 にしているため仕掛けを引いてきて、ひっかかりがあ るような場所に固定します。ほとんど根掛かり状態に しておくわけです。こういう場所がアイナメのポイン トであることが多いのです。投げ釣りの場合には、ポ イントを知らないとヒットの確率は低いですが、大型 が期待できます。投げ釣りは完全に「向こう合わせ」 なので、アタリがあっても素早い「合わせ」などは必 要ありません。ただ、置き竿にしていると、大型がか かった場合、竿ごと持っていかれますから、注意して ください。
2)フカセ釣り
フカセ釣りではクロダイ釣りと同じ道具を使います。 ヘチ竿や落とし込み竿に、タイコリールを装着し、 それに3号程度のフロートタイプの道糸を50メート ル程巻いておきます。それに、1.5〜2号のハリス をつけ、チヌ鉤の2〜3号、または丸せいご鉤の11 〜13号を結びます。「ケン付き」といって、イソメ が抜けにくくなっているせいご鉤もあります。

(写真:左がチヌ鉤、右が丸セイゴ鉤)
アイナメ釣りはそれほど神経質な釣りではないので、 ガン玉は3B〜4B程度で早く沈める方が効率的でし ょう。これを鉤のちもとから2センチ程度のところに つけます。フカセ釣りのエサはモエビやイワイソメな どの活きエサです。これらの携帯方法は「クロダイ」 の項を参照してください。
ポイントに投入したら、若干の糸フケを保ちながら仕 掛けを降下させます。アイナメのアタリは、ほとんど が仕掛けの着底寸前にきます。まずコツっと「前アタ リ」があります。道糸が震えるような前アタリもあり ます。しかし、これで慌ててあわせると、掛からない こともあります。前アタリがあったら、竿先を少し送 りこんでエサを抵抗なく食わえさせるようにします。
やがてアイナメがエサを食わえこむと、自分の棲み家 に引き込もうとするので、糸がすーっと吸い込まれま す。これで軽く合わせれば、がっちり鉤がかりするで しょう。このように、この釣りでは「ウキ」を見てア タリをとるのではなく、竿で感じ取る「コツ」という 振動と、糸ふけの変化で仕掛けの状況を判断します。
掛かってからのアイナメは、独特の首振り動作をしま す。鉤をはずそうとするのでしょう。そのたびに竿先 が大きく引き込まれます。これをアイナメの「首振り ダンス」ともいい、アイナメ特有の釣り味となってい ます。
3)ブラクリ釣り

(写真:ブラクリ)
この釣法では写真のような「ブラクリ」という独特な仕掛け を使います。これはオモリと鉤が一緒になったような ものです。オモリは赤い円錐形をしており、投入後に 「ブラクリブラクリ・・・・」と揺れながら降下して いきます。アイナメは非常に好奇心の強い魚なので、 それを刺激するための工夫なのです。
竿は、1号程度の磯竿か15号以下の軽い投げ竿を使 います。それに小型のスピニングを装着します。道糸 は3号くらいで十分です。それに1.5〜2号程度の ハリスをつなぎます。ヨリモドシは道糸とハリスの間 に入れてもいいですし、スナップ付きのものをハリス とブラクリの間にいれてもいいでしょう。
ブラクリはオモリのサイズで1号から5号程度まであ りますが、風の弱い日なら1号程度を、強風時や深場 を狙う場合、また船釣りなどのときは重いものを選び ます。
ブラクリについている鉤は、赤く染めた丸せいご鉤で す。だいたい12〜13号がついているようです。こ れにイワイソメをつけます。アイナメはイソメの頭の 堅い部分を好むそうで、イソメの口元から鉤を入れチ モトまでしっかりとこきあげます。
セットできたら、チョイ投げの要領で軽く投げます。 着底するまで、少し糸フケを保つようにします。アイ ナメがいれば着底寸前にアタリがあります。相当に糸 フケがあっても、アイナメがくわえると道糸がかなり 震えます。竿にもカツカツと響いてきます。これで、 軽く合わせれば掛かります。もし、最初の投入位置で アタリがなければ、竿先をポーンと持ち上げて1メー トル程度手前に落とします。このとき、仕掛けをズル ズルと引きずらないように注意してください。ブラク リ釣りは、あくまで降下するブラクリをアイナメにア ピールして釣る釣法ですから、一ヶ所にじっとブラク リを置いておいても釣果は上がりません。次々とポイ ントを変えて、広く探るようにするのが釣果をあげる コツです。
■釣果への期待
横浜沖堤でのアベレージサイズは25から30センチ 程度です。年間数本は40センチオーバーが出ます。
春先には生まれて2年以内の小さなアイナメがかかっ てきたりします。これを「デキのアイナメ」と呼びま す。これはたいていリリースしますが、ハゼのように 空揚げにしたり、甘露煮にしてもおいしいそうです。大型は、刺し身、塩焼き、煮付けで楽しめます。
■ポイント
砂地で平たんな海底には、アイナメは棲みません。適 度に岩礁のあるような場所に棲み着きます。「アイナ メは根を釣れ」とも言われます。根がかりをするよう な場所でないと釣れない、ということです。したがっ て、根がかりを恐れていてはアイナメのような根魚は 釣れません。根のある場所で、根がかりをしないよう にうまくアイナメを釣るのが醍醐味です。アイナメは ほとんど自分の縄張りから動きません。また、群れで いる魚でもないために、ある場所で1尾釣り上げてし まうと、次の魚が入ってくるまではその場所では、ま ず釣れることはありません。それだけに、この釣りは ポイントを熟知しているかどうかで釣果に大きく差が でます。また、アイナメはよく「夫婦で棲んでいる」 と言われます。1尾釣れると、そこでもう1尾は釣れ るからです。確かに、数年前まではそういうことがよ くありました。しかし、最近ではそうした体験はほと んどなくなりました。アイナメの住環境も変化してき たのでしょうか。


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