ガイドの取替え

最終更新日:2007年5月22日

■ガイド取替の考え方
ガイド取替の目的は「糸絡み」をなくすことなので、まず はスネークガイドを一般的なSicリングのガイドに替え ることにしました。最近のスピニングロッドでは先端まで シングルフットのガイドにするのが一般的ですが、この竹 の竿の場合は、先のガイドをシングルフットにしてしまう と竿が曲がり過ぎるように思えたので、1番から4番まで はダブルフットガイドにします。
5番から元ガイドまでは、元々シングルフットだったので そのままにします。しかし、そのリングサイズがかなり小 さく、糸の通りがよくないように感じていたので、サイズ を大きめに変えることにしました。
特に元ガイドは取り付け位置も一般的なロッドに比べてリ ールに近いために、余計に径の小ささが気になっていまし た。そこで、今回は思い切って元ガイドに#30を採用し ました。5番から7番ガイドについては、それに準じて径 を大きめに変更しました。
ガイドの取り付け位置については、オリジナルのままとし ました。カーボンロッドであれば、ガイドメーカーの資料 などを参考に決めるのですが、何しろ相手は竹竿なので、 これを敢えて変えることはせず、オリジナルの位置をキー プすることにしました。結果がどう出るかは、やってみて のお楽しみです。

スネークガイド ダブルフットガイド(Sicリング)

■ガイドの取替仕様
ガイド名 庄内竿オリジナル 取替後 製品番号 リング内径 トップからの距離
トップガイド Sicリング#7 取替えず 4.8mm 0mm
1番ガイド スネークガイド Sicダブルフットガイド#6 SVSG#6 4.1mm 90mm
2番ガイド スネークガイド Sicダブルフットガイド#6 SVSG#6 4.1mm 223mm
3番ガイド スネークガイド Sicダブルフットガイド#7 SVSG#7 4.8mm 402mm
4番ガイド スネークガイド Sicダブルフットガイド#7 SVSG#7 4.8mm 630mm
5番ガイド Sicシングルフットガイド#8 取替えず 5.4mm 898mm
6番ガイド Sicシングルフットガイド#8 Sicシングルフットガイド#10 LVSG#10 7.0mm 1213mm
7番ガイド Sicシングルフットガイド#12 Sicシングルフットガイド#16 LVSG#16 10.6mm 1591mm
元ガイド Sicシングルフットガイド#16 Sicシングルフットガイド#30 LVSG#30 23.4mm 1965mm

※製品番号は富士工業株式会社のものです。


■改造のプロセス
それでは、今回のガイド取替作業について、順を追って紹 介していきましょう。といっても、わたし自身いろいろな 資料を見ながら初めて行うことなので、失敗もあることで しょうから、そうしたことも織り交ぜて紹介します。
項目は下記のとおりです。
 (1)パーツの調達
 (2)既存ガイドの取り外し
 (3)新規ガイドの取り付け
 (4)テスト

(1)パーツの調達
これが意外に難関です。というのも、ガイドを補修パーツ として在庫している店はなかなかありません。横浜のルア ー専門店に行ってみましたが、案の定、満足な在庫はあり ませんでした。そこで結局は品番を指定して取り寄せても らうことになりました。
ちなみに店舗で在庫しているガイドはほとんどがチタン製 で、元ガイドなどは1個で4300円もします。わたしが 予定しているステンレス製ガイドの4倍の価格です。
店に問い合わせたところ、指定のガイドを探してみるので 少々時間がほしいとのこと。探すといっても、実は系列の 店舗の在庫を確認するということです。なぜメーカーに注 文しないのか、というと、店からメーカーに注文する場合 はある程度数をまとめなければならず、バラで発注はでき ないからだそうです。
ガイドを注文してから9日後にようやくショップから電話 があり、パーツがそろったとのこと。当初はチタン製も混 じってしまうとのことでしたが、結果的には全数ステンレ スで調達できたようです。ショップのお兄さんに、感謝! さっそくショップに受け取りに行きました。ガイド5種類 7個で3938円。安い釣竿が買えてしまう金額です。
その他、固定のための縛り糸とコーティング用のウレタン 塗料もまとめて購入し、全部で5628円でした。

(2)既存ガイドの取り外し
既存のガイドは「縛り糸」で取り付けてあるので、簡単に 取り外すことができます。まず、カッターでガイドの足に あたる部分の糸を削り切ります。そしてそこから、皮を剥 くように糸をはがしていけばよいのです。糸はウレタン塗 料で固まっているので、一枚ものになって剥くことができ ます。(写真下)
竿に残った塗料やひっついた糸は、ドライヤーであたため ながら、プラスチックの定規などでこそぎ落とすと、ブラ ンクも傷めずにきれいに取れます。
既存のガイドを取り外す前に、その足の近くに位置を示す マークをマジックなどで記しておくと、新しいガイドを取 り付ける際に、位置決めの目安になります。

ガイドが取り付いた状態
足の部分から糸をはがします
ガイドをはずし、さらに周囲の糸もはがします

(3)新規ガイドの取り付け
取り付け作業自体はパーツと材料さえそろっていれば、2、3時 間でできます。
基本的には次の順序です。
 @ガイドの位置を決めて、ガイドをマスキングテープなどで
  仮止めします。
 A縛り糸を巻いてガイドを固定します。
 B縛り糸をウレタン塗料でコーティングします。
糸を巻く時のコツは、糸を緩まないように常にテンション をかけながら、竿の方を静かにまわしながらじっくりと巻 いていくことです。時々、爪の先で巻き糸をしごいて、糸 の間の隙間をなくすようにします。慣れていない人や、手 先のあまり器用でない人は、少し太めの糸を使った方が巻 きやすいかもしれません。
取り付けに使用する道具は、下の写真のように簡単なもの です。どこにでもある普通の道具だけで大丈夫です。テー プはガイドを仮止めするのに使います。マスキングテープ などが使いやすいようです。
カッターは糸を切るのに使いますが、ケチケチせずに新し い刃先を使わないと、力を入れすぎて余計な糸を切ってし まいます。
写真にはありませんが、巻いて余った糸を縛りつけるのに 別の糸で作ったリングを使います。これにはナイロン糸な ど滑りやすい材料のものが使いやすいでしょう。
ガイドの縛り糸は、2液性の透明ウレタン塗料でコーティ ングします。ウレタン塗料は硬化した後でも粘性があり、 竿がしなっても割れたりすることがないので、このような 用途には最適なのです。
ウレタン塗料は乾くのに時間がかかるので、一晩かけてじ っくり乾燥させ、次の日に2度塗りします。重ね塗りの際 は塗料をソルベント液で少し薄めて塗ると、ぼってりしな いで、いい仕上がりになります。

巻き糸ほか使用道具
取り付いた元ガイド(#30)
取り付いた7番ガイド(#16)
取り付いた3番ガイド(#7)
仕上げ用のウレタン塗料セット

(4)テスト釣行その1
4月29日、いつもの沖堤でテスト釣行。装着したリール はステラ3000。ラインはFierWireの8LB。ルアーはデ ュエルの24g。最初は軽くキャストし、一応なめらかに ラインが出て行くことを確認。特に元ガイドの径を大きく したことで、リールからのラインの放出がぐんと滑らかに なっている様がはっきりと目でも確認できた。
しかし、何度か軽いキャストを試した後、少し遠めにキャ ストした途端、恐れていた事態が発生した。5番ガイドに 糸が絡んでしまったのだ。ちょうどショックリーダとライ ンのつなぎ目でガイドのリングにラインが結び目を作って しまった。たぶんつなぎ目のコブがリングにひっかかり、 後から放出されたラインが撚れて絡んだのだろう。5番ガ イドといえば、今回、交換しなかったガイドだが、そのせ いではないだろう。いずれにしても、数投目で絡んでしま った、ということは当初の目的からすると失敗といわざる を得ない。だが、もともとPEラインは絡みが起きやすいも の。たまたま早めに起きてしまったことも考えられるため 替えスプールで再挑戦することにした。仕様は前と同じ。
ここでは、そうすぐには糸絡みは発生しなかったが、30 分ほどのキャストの後、今度はバックラッシュが起きてし まった。バックラッシュの原因をガイドの仕様とは考えに くいのだが、いずれにしてもガイド交換のテストで、こう 早々と代表的なトラブルが起きてしまうというのは、あま りうれしくない結果となってしまった。
その後、せっかくの釣行なので、予備のペンリールに換え て釣りを続けたたが、これは最後まで約4時間、全くのノ ントラブルだった。ラインは16LB。この差は大きいこと がはっきりした。というよりも、8LBと16LBの使い勝手 の差はあまりなく、むしろトラブルが起きやすい、という リスクの大きさの方が浮き彫りにされてしまう結果となっ た。
今回の結果を受けて、実は8LBラインを使用するための改 善案が思い浮かばず、もう一度だけ8LBでトライしてみて やはり同じような結果になるのであれば、ラインを16LB に戻すのが一番の策かと考えている。
これでは当初の目的が果たせないようではあるが、元ガイ ドの大型化により、ラインの放出が滑らかになったことと 16LBにしても、スネークガイド仕様時の「糸はさみ」現 象の解消には効果があると考えられるので、これはこれで よかったと思う。
次回は、2回目のテストの結果を報告しよう。

(4)テスト釣行その2
2007年5月20日。ガイド改造のテストを兼ねて釣行 釣り場はいつもの旧白灯台。タックル仕様は前回と同じ。 朝7時から12時までの5時間のキャスト。前回は投げた 早々にガイドへの糸絡みとなったが、今回は5時間、全く のノントラブルであった。1度だけ、やはり5番ガイドに 若干の糸絡みは見られたものの、軽いもので、すぐにほど ける程度のものであった。これは、カーボンロッドの場合 と比較してもほとんど遜色のない結果だ。これをどう解釈 しよう?
前回と同様の状況ならば、ラインを16lbに戻すつもり であったが、これではその必要もなさそうだ。とりあえず 高価なPEライン交換はせずに済みそうである。
今回のテストで、強いて気をつけたところといえば、無理 に力任せにキャストせず、なるべく竿の弾力にまかせてゆ ったりと投げたくらいか。それはルアーキャスト時にはあ たりまえのことなのだが、とりわけこの竹竿の場合には重 要に思う。というのは、竹竿はカーボン竿のように「硬い パワー」ではなく「柔らかいパワー」なので(こんな表現 でわかるだろうか?)ためるだけためて竹の弾力を最大限 に引き出すようにしないと、無駄な力で竿が変形してしま うのだ。つまり「ねじれて曲がる」のだ。 それで気が付いたのだが。この竿、キャストする度に、接 合部分から先がよじれるのだ。振り出し式の投げ竿などで よく経験するように、キャスト時のラインのテンションに よって、ガイドが回転してしまうのだ。庄内竿の場合はガ イドは竿に固定されているため、竿自体が回ってしまうの だ。そうすると飛び出ていくラインに不自然なテンション がかかり、ガイドに絡んだりするのではないだろうか。 いずれにしても、今回のテストの結果を受けて、ガイドの 仕様は当面このままでいくことにした。あとは、実際に魚 が掛ってからの影響を見るだけだ。

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