庄内竿の改造記

最終更新日:2007年5月22日





庄内竿という伝統的な竹竿によるルアーフィッシングを紹 介しましたが、その楽しさを感じる一方で、やはり最新の 素材とのアンバランスを感じざるを得ない状況に遭遇し、 この改造を思い立ちました。本来であれば「昔ながらの」 仕様で楽しむのが正解なのでしょうが、このロッド自体が 言わば「変わり者」的なものなので、庄内竿の基本をくず さない範囲で、改造することにしました。

■改造に至った理由
わたしが庄内竿でシーバスを狙ったルアーフィッシングを 本格的に始めて1年ほどになりますが、先般、それまで使 っていたPEラインが劣化してきたのをきっかけに、ライ ンを16LBから8LBに変えました。当然ながらルアー の飛距離も伸び、カラーをグリーンからスモークに換えた ことも手伝い、魚へのストレスも小さくなったように感じ られました。
ところが、同時に発生したのがPEライン独特の「糸から み現象」でした。PEラインはご存知のように、ナイロン 糸などに比べて非常に細くしなやかであるために、ちょっ とした弾みでキャスト時にガイドにからんでしまうのです 実は同じ現象は16LBを使っているときにも発生してい ました。そのときは、ショックリーダを20LBから16 LBに変えてラインとのつなぎ目の差を小さくしたら解消 したのですが、今回ラインを8LBに変えたので、それと 同じような現象が出てきてしまったのです。しかし、だか らといって、シーバスの狙うにこれ以上ショックリーダの 強度を落とすわけにはいきません。
それで、糸絡みの状況をよく調べてみると、絡んでいるの はほとんど2番ガイドあたりで、しかも絡んでいる、とい うよりも、スネークガイドの脚の部分で竿との隙間にライ ンが挟まれていることがわかりました。
この竿は1番から4番までがスネークガイドになっており 以前にも魚をいなしている時に、ラインが挟まったことも ありました。
スネークガイドは主にフライロッドで使われるガイドなの ですが、竿の作者がどういう理由でこのルアーロッドに敢 えてスネークガイドを採用したのかわかりません。わたし もこの点は始めから不安を感じていたのですが、今回のラ イン変更に伴って、その心配が現実になってしまいました そこで、その弱点を解消すべく、改造を計画したというわ けです。
ちなみに、今回の改造にあたっては下記の資料を参考にさ せていただきました。

【参考文献】
「ロッドクラフト」(1980年 大村隆一 著)

【参考サイト】
「富士工業株式会社サイト」

■改造のコンセプト
改造の仕様を検討するにあたって、自分なりのコンセプト を明確にしようと思いました。せっかくの伝統竿なのです から、その良さを損なってしまっては意味がないからです そこで、次のような方針を決めました。
@釣果アップを目的としない
今回の改造はあくまで「不具合の補正」が目的であって、 これ以上の釣果を望むものではないこと。具体的には「P Eラインの糸絡みの解消」「持ち重りの解消」「グリップ 性の向上」の3点です。
A竿本体は加工しない
庄内竿の真髄は、まるまる1本が苦竹の素材でできている ことです。したがって竿の一部を切断したり、別の材料を 継いだりすることはしない。
B基本デザインを変えない
庄内竿の外見的な特徴は、その素朴なアピアランスです。 色漆で装飾しているわけでもなく、飾り糸を編みつけてい るわけでもなく、ガイドを取ってしまったら、ただの竹竿 です。そうした庄内竿の外見的な特徴を基本的に変えない ようにします。

■改造内容
上記のコンセプトに基づいて計画した改造ポイントは次の内容です。
◎ガイドの取替え
これは1号のPEラインを使用する上で致命的な糸絡みを なくすための必須事項です。特に糸絡みは竿先端の1、2 番ガイドで起こることが多いため、まずスネークガイドを 一般的なSicリングのガイドに取り替えます。同時に他 のガイドも、サイズを変更しライン通りをスムースにする ようにします。

★改造工程の詳細はこちら


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